ウガリを美味しく食べたい

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先日、アフリカのタンザニアで「ウガリ」という料理を食べた。

「ウガリ」

これは説明が必要だろう。

ウガリ(スワヒリ語:Ugali)は、穀物の粉を湯で練り上げたアフリカ伝統の食品である。ケニアなどアフリカ東部や南部で主食として広く食されている。

引用 Wikipediaより。

入ったレストランで主食をライス・パン・ウガリの三種類から選べた。そういった位置付けの食べ物だ。

せっかくだからとウガリを選んでみたのだが……。

左の白いのがウガリ。右上はチキン。

このようにちぎってシチューやおかずなどと一緒に食べるらしい。

正直、僕には口に合わなかった。

ウガリはよく“味のないオカラ”と例えられる。これは本当にその通りだった。

味はほとんどなく、ボソボソとした食感だけが口に残る。一口食べてちょっと後悔した。一緒に頼んだシチューのような何かと、チキンがあったのでなんとか食べ進めてみる。しかし、途中でギブアップしてしまった。

サジェストでは“まずい”が出てくる。

僕は“まずい”とまでは思わなかったが、確かに美味いとは言えなかった。しかし、残してしまった事がなんだかとても申し訳なかった。

外国の食を理解するという事は、その国を理解するひとつの方法だと思う。

アフリカが楽しかったから、ウガリが好きになりたいのだ。

どうにかしてウガリを美味しく食べる方法はないだろうか?

待てよ……。

ウガリは米やパンと同列に並ぶ主食だ。ならば、何か相性のいいおかずと一緒に食べれば美味しく食べられるんじゃない?

よし、いろんなおかずを用意して試してみよう!

 

ウガリを作る。

兎にも角にもウガリがないと始まらない。当然ながら作ったことはない。

レシピを調べてみると、ヒットした数は驚くほど少なかったが、あるのはあった。頼みの綱のクックパッドでも5件しか載っていなかった。

書いてあることは全部同じだ。

材料は「トウモロコシの粉」「お湯」以上。調味料は一切ない。

作り方もトウモロコシの粉をお湯でひたすら練り上げる、としか書いていない。

現代でこの情報量の少なさってある?そもそもトウモロコシの粉って何?日本で買えるの?

トウモロコシの粉を求めて数件のスーパーをまわってみた。なんとか、これかな?というものがあったので買ってきた。

どちらも人生で初めて買った。コーンスターチに「でんぷん」という言葉が入っているのが少し気になる。

では、早速作ってみよう。まずはコーンスターチからだ。

お湯を沸かせた鍋にコーンスターチを投入。

水分の量を調整しながら木ベラでひたすらかき混ぜる。

案外早く固まってきた。木べらが重くなる。

釣りをしている時に針が藻にひっかかった時に似ている。

みてください。このツヤと輝き。

あれ?ウガリにツヤなんてあったっけ・・・。もっと粉っぽかったような。

うおおおおー!

ダマにならないようひたすらにかき混ぜないといけない。結構な力仕事だぞ、これは。

そうしているうちに、いかにも俺は穀物だ!という匂いが漂ってきた。そうそう、この匂い。

よしよし。確かにウガリの匂いがするぞ。

鍋底にこびりついてしまった。「10年近く使ってきたこの鍋、死んだな」と思った。

出来上がりのタイミングがよく分からない。感覚を頼りに、頃合いかな?というとこでストップしてみた。

火を止め、蓋をして少し蒸らす。

ウガリ、完成!?

しかし、これは僕がアフリカで食べたウガリとは違う。もっとアフリカの大地を具現化したようなザラザラ感があったはずだ。

これはツヤツヤでゼラチン感がある。それゆえ気品のようなものすら漂っている。う〜ん。気品はなんか違う気がする。

もう一つ用意していたコーングリッツでも作ってみよう。

これは間違いなさそう。もろに「トウモロコシ、粉にしちゃいました」って書いてある。

アフリカで食べたウガリは白色だったが、黄色いトウモロコシの色をしている。同じスーパー(成城石井)でコーンフラワーというのも売っていたが、そっちの方が白には近かった。グリッツとフラワーの違いは粉の荒さらしい。

鍋、無事に帰還。こびりついたコーンスターチを落とすのに一時間くらいかかった。

もちろん作り方は先ほどと同様。

こちらもすぐに固まってきた。コーンスターチと違って、いい具合に粉感が残っている。

2回目のかき混ぜ。腕が痛い。部活でダッシュの後に間髪いれず、もう一本!と監督に言われた事を思い出した。

ほんとにオカラみたいだ。

そうだよ、これだよこれ、お前に会いたかったんだよ、と嬉しくなった。

完成した二つのウガリ。明らかに違いが出た。

試食をしてみる。

まずはコーンスターチで作ったウガリから。

これは違う。僕がアフリカで食べたウガリとはほど遠い。

やはり「でんぷん」と書いてあっただけあって、ぶよぶよの塊になってしまった。味が全くないグミのようだ。

あるのか分からないが、「でんぷん」と書いていないコーンスターチがあるならば上手くウガリができるのかもしれない。

対してコーングリッツで作った方は、

そうそう!これこれ!

こっちが正解だった。皆さんも、もし作ろうと思うのなら成城石井でコーングリッツかコーンフラワーってのを買ってください。

さて、無事ウガリは用意できた。次はこのウガリに合いそうなオカズを用意して実験だ。

ちょうど今日は友人たちと多摩川の花火大会を鑑賞する集まりがある。

どうせならみんなにも食べてもらって、一緒に考えてもらおっと。

タッパーに詰めると蒸しパンみたいになった。色がきれいなのでフォトジェニックではある。

どのオカズがウガリに合うのか

友人が住んでいるマンションは屋上が解放され、バーベキューなどができるスペースがある。案外ありそうでないタイプのマンションだ。

そこから花火が綺麗に見えるという事で今日はみんな集合。

ドラマのワンシーンみたいだ。こんなとこに住んでるなんて正直羨ましい。

ウガリを食べてもらうことは全く言っていなかったので「ねお、なんか買ってきすぎじゃない?」と突っ込まれる。

だって、いろいろ試したいんだもん。

これは暗くなる前に撮った。

この集まりは、各自それぞれ適当に食べ物、飲み物を持参するかたちだ。

僕が持ってきたご飯に合いそうなおかずと皆が持ち寄った食べ物でテーブルが随分カオスな状態になった。

僕が用意したおかずは以下。

豚の角煮・麻婆豆腐・唐揚げ・秋刀魚・きんぴら・カレー・海苔の佃煮(ごはんですよ)・辛子高菜・漬物(たくあん)・納豆・ふりかけ(のりたま・ゆかり)

それと甘いものも合うかもしれないと思い、いちごジャム・チョコクリーム。一応、本物のおからも食べ比べたいので用意した。

タッパーを開けた時に発せられた言葉は

「何これ?たまご?」

そりゃ、そうみえるか。

花火が始まる前にウガリについて、また、どのおかずが合うのか調べたい、という経緯を説明。みんな快く協力してくれた。

初めてみるウガリにおそるおそる箸を出す。

まずは、みんな純粋にウガリだけを食べてみる。

ふむふむ。ウガ……なんだっけ?

んんん〜、これは……(無言)

どれどれ……

ぶははー。笑いだしてしまった。

「味がない」「単体ではきつい」「パサパサしてるね」「穀物って感じはすごくある」「じゃりじゃり感?」「塩気がほしいね」「・・・(無言)」

などなど。誰一人として口から美味いという声は発せられない。

そうなのだ。だからこそ美味しく食べてみたいのだ。

ちょっと妙な空気になってしまった。

それでは早速、ウガリに合うオカズを探してみよう。

【角煮や唐揚げなどの肉・魚系】・・・☆

「合わない」「単体で食べた方が美味しい」という意見がほとんど。

あれ?正直このあたりは無難なところだと思っていたのに想定外だ。お米にもパンにも合うのにウガリには合わないとはつれない。

 

【麻婆豆腐】・・・☆☆

これは汁気もあるし、結構合うのでは?と思っていたが、そうではなかった。麻婆丼のようにうまくウガリと麻婆が混ざり合うのを期待していたが……。

 

【辛子高菜】・・・☆☆

正直微妙。濃い味に多少ごまかされた雰囲気はあるが、高菜があればいくらでもウガリが止まらない、という訳ではなかった。高菜だけ食べきって、高菜食べてしまったんですか!?と言われたい。

 

【納豆】・・・☆☆

悪くはない。悪くはないのだが、積極的にウガリと納豆の組み合わせを勧めるかと言われると僕はおすすめできない。

【カレー】・・・☆☆☆☆

大本命だったカレー。さすがの合い具合。これでダメだったら僕はもう何を信じれば良いのかわからなくなるところだった。カレーは人生の羅針盤である。

どどどーん!

そうこうしているうちに、花火が始まってしまった。

この時点でみんなもう、ウガリの事はさっと頭から消え、花火を愛でてしまった。

しかし、僕にとっては花火どころじゃないんだ。試食を続ける。

【ふりかけ のりたま・ゆかり】・・・☆☆☆

さすが、王道の二つ。これも悪くなかった。味のないウガリに安定のふりかけが良いアクセントになってイケる。

 

「これ、生ハムの塩気が合うんじゃない?」とワインと一緒に生ハムを持参した人が言った。

プレーンなウガリを食べた時に塩が欲しいという意見もあったくらいだ。これはいけるのではないか。期待が高まる。

生ハムを手巻き寿司みたいに巻く人初めて見た、とのお声をいただきました。

おお!これは見た目からして美味しそう!デパ地下で売ってそうじゃない?

【生ハム】・・・星なし

絶望。未知なる食感だった。生ハムの塩気のある肉々しさと見事にミスマッチを起こしていた。生ハム合うんじゃない?と言った彼には風邪を引いてもらいたい。

 

また誰かが言った。

「こりゃ醤油だな。単純に醤油かけるだけで多分美味くなるはずだ」

【醤油】・・・☆☆

かけた瞬間からウガリがみるみる醤油を吸収していく。ほんのり醤油の味がするがこれが合うかと言われると首をひねらざるをえない。

 

【つけもの(たくあん)】・・・☆☆

合うとはいいがたい。ご飯に欠かせない地位を得ているたくあんだが、ウガリには全く必要とされていなかった。悲しいことである。

 

【海苔の佃煮(ごはんですよ)】・・・☆☆

これは結構ありかも。佃煮の甘さが味の色がないウガリに濃い色を乗せてくれるようだ。でも「ウガリですよ」は多分販売されない。

 

【いちごジャム】・・・☆☆☆☆

これはちょっと予想外。美味しかった。こういうスイーツだと知らずに出されたら信じてしまいそうだ。

では、そろそろ結論を出そう。

結論:ウガリを美味しく食べられるおかずはカレーが一番。ダークホースはいちごジャム

これはある程度想定通りの結果。やはり大本命であるカレーが一番合うと言えた。

シチューなど汁気のあるものとの相性はやはりいいみたい。しかし、注目すべきはいちごジャムという伏兵である。同じ甘いものでもチョコクリームはそんなに合わなかったのでいちごの酸味が効いているのかもしれない。

そのほか、これは意外だったのだが、肉系はあまりピンとこなかった。

僕なりの考察

なかなか難しい食べ物を快く食べてくれた友人たちにはマジ感謝だ。

思いのほか、ウガリに合わないものが多かったのにびっくりした。特に肉系には予想をひっくり返された。でも今回、色々と試してみて、僕なりにその理由らしきものが見えた気がする。それは……

ウガリの味のせいではなく、食感のせいではないか。

という事だ。ウガリのモサっとした歯ごたえのない食感が、おかずの硬さとマッチしない。

日本人はウガリを口に入れた時のもさもさ具合に慣れていない。アフリカの人たちは幼い頃からこの感触に慣れ親しんでいる。

つまり、慣れていない食感に舌や脳が戸惑って美味しいという判断を下すどころではないのではないか。合わないわけではなく、合わないと感じているだけではないか。

だから、カレーやふりかけ、いちごジャムなど液体に近いものはさほどウガリとミスマッチしなかったのだと思う。弾力ある生ハムのミスマッチも納得がいく。

これが今回、僕が導き出したひとつの結論だ。

 

アフリカは癖になる、と聞いたことがある。きっとウガリも食べ慣れる事が必要なのだ。

今回で作り方も習得したし、コーングリッツも簡単に入手できることが分かった。

僕はまたアフリカを思い出しながら、たまにウガリを作りたいと思う。

 

おからは味がついててずるいな。

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