雑司が谷 謎の黒猫

雑司が谷にある鬼子母神にたまに行く。

散歩の目的地として、ちょうどよい距離にあるからだ。

ところで、鬼子母神には以前から興味深い話がある。

「鬼」の文字に「点」がないのだ。

ここで、少し鬼子母神の話を。

“鬼子母神はインドでハーリーティーと呼ばれ、多くの子供を産んだ。しかし、近所の子供を食べてしまうという暴虐で恐れられていた。それを見かねたお釈迦様は、ハーリーティーが特に可愛がっていた末の子供を隠してしまう。

ハーリーティーは我が子を失う悲しみをやっと思い知り、嘆き悲しんだ。それ以来改心し、安産や子供を護る存在になった。”

という話があるそうだ。

つまり、鬼ではなくなった=ツノ(角)が取れた

というわけで上部の「ツノ=点」がない鬼の字が使われているということらしい。

とても面白い話じゃないですか?こういうの大好物。

鬼子母神はもっと謎がありそうだぞ。

調べてみると、やはりあった、あった。

その中でも特に僕が惹きつけられたのは、

雑司が谷の町に黒猫がいるらしい。

猫?そりゃいるでしょ。ところがどすこい。

その猫は町中に落書きされた黒猫らしく、誰が何の目的で描いたのかよく分からないらしい。

ほほう。さてはバンクシーの仕業か?こりゃあ調べざるをえまい。

かくして僕は現地へ飛んだ。

 

鬼子母神

さて、鬼子母神にやってきた。

なんか朝から人が多いな、と思ったら、この日はドラマのロケをしていた。確かにこの参道は絵になるはず。

参道のケヤキ並木には、大きな木がたくさんある。

どのくらい大きかというと、

このくらい大きい。

こんな木が何本かあるのだ。

さて、鬼子母神に到着。いつ来てもノスタルジックでいい雰囲気。

池袋のフクロウに対して、雑司が谷はミミズクで対抗。

入り口にはザクロの文様がある。

鬼子母神は手に吉祥果(ザクロ)を持っているのだ。これもいくつか説があって、

・子供を食べる代わりに、実が赤いザクロを持っている。というちょっと闇を感じる説。

・ザクロは熟して割れるとたくさんの種が入っている。それが子孫繁栄を表している。という説だ。

できれば後説を信じたいところだ。

境内へ。まずはお参りしておこう。

「神」という字がつくので勘違いするかもしれないが、鬼子母神は神社ではない。

すぐ近くにある法明寺というお寺の境外仏堂である。

絵馬にはザクロの絵が描いてある。かわいい。

ちなみに境内にも本物のザクロの樹がある。


立派な彫り物。金網がなければ綺麗に見えるのだが、鳥よけだろうか。

右を向くと大黒堂という建物がある。

ここには大黒様が祀られているのだ。

そうか。雑司が谷には七福神めぐりがあるのか。

黒猫を探す。

さて、実は事前にネットで調べていた箇所がある。まずはそこに向かってみることにしよう。

鬼子母神を出てそのまま「法明寺」へ向かう。

法明寺は鬼子母神から歩いて3分くらいの位置にある。

この法明寺の境内には観静院という建物がある。そこにも七福神の一人「弁財天」が祀られている。


こちらが弁財天。琵琶を奏でる姿はおなじみ。

お目当ての黒猫は、法明寺の墓地横を通る参道にいるらしい。

この道を抜けると池袋へ出ます。

ほどなくして道の真ん中に石碑のようなものが見えた。あれかな?

石の反対側へ回ってみる。

いた。

想像してたより黒猫だ。

描かれているのはシルエットだけだが、遠目で見ると本物の猫に見えるかもしれない。夜にライトで照らすとギョッとするだろう。

近くで見てみる。

どうやらスプレーで描いているようだ。雨風やちょっとのことでは消えそうにない。

ここで、ある仮説が浮かび上がった。

もしかして……、黒猫は七福神のルートを案内してるのではないか?

このまま七福神巡りをするとたくさん見つけられるかもしれない。

今日はそんなに歩くつもりもなかったのだけど、乗りかかった船だ。

巡りましょう。七福神。

長めの散歩にちょうどいい七福神めぐり

注意深くキョロキョロしながら歩き回る。

東京音楽大学の前を通り、大鳥神社にやってきた。

立派な神社だ。

お尻を突き上げる狛犬もなんだかスタイリッシュ。

 恵比寿様はいつだってめでたい。

狛犬もそうだが、イメージしている恵比寿さんよりほっそりして都会的だ。

アーバン恵比寿という名のマンションが実際にありそうだが、こっちの方がアーバン恵比寿だよ。

続いて都電荒川線の線路を越えて「清流院」にやってきた。

ここには毘沙門天。戦闘的なイメージが強いがやはり男心をくすぐるな。

雑司が谷霊園を抜ける。

この霊園には、小泉八雲や夏目漱石など著名人のお墓がたくさんある。ミーハー心が騒ぐがお墓を写真に撮るのは気がひけるし、今回はスルーだ。

通り抜けるだけなのだが、お邪魔してすいませんという気持ちで縮こまる。

霊園を抜けたあと少し道に迷った。

七福神巡りのパンフレットで見るとさほど距離はないはずなのに、なぜかやたら遠い。どうやら霊園の出口を間違えたらしい。

まあ、迷子になるのはいつものことなので想定内だ。

遠かった……。

やっと清土鬼子母神についた。

ここには吉祥天がいる。

穏やかな表情の像でした。

吉祥天は鬼子母神の娘だったのか。知らなかった。

七福神スタンプラリーもできるらしい。

残りの二つ。布袋様・福禄寿は、池袋のあたりにある。

というわけで、もう一度最初の「法明寺」まで一旦戻ろう。

戻りはわざと路地を歩く。黒猫は路地の方がいそうだからだ。

猫。人に慣れているのかほとんど警戒しない。

こっちはこれ以上近づいたらやられる……。

ここはやたらと猫の多い街だ。しかし僕が探しているのは君たちではない。

いかにも黒猫がいそうだが、なかなか見つからない。

また「法明寺」に戻ってきた。

ここから池袋の方へ歩く。

どうせならと思い、黒猫がいた参道とは違う道を通ってみたところ・・・

んん?

これ…、黒猫の名残りじゃない?

自然についた炭や汚れではない気がする。おそらくスプレーで書かれた黒猫を消したんじゃないかな。

しかし確証が得れないので判定はグレー。

「トンネル抜けたら海」ではなく、お墓の横を抜けたら池袋だった。

急に人通りが多くなって賑やかになった。

すぐ右側に布袋様が祀られている。ノボリがなければ分からなかった。

何回かこの道は通ったことがあったのに、今まで全然気づいていなかったな。

布袋様。いい表情をしています。

もう一つの福禄寿もすぐ近くだ。

この近代的なお寺の中かな。

びっくりした。中に入ると体しか見えない大きな仏様が出迎える。

その横にいました。福禄寿の前に「華」がついて「華福禄寿」という名前だ。

これで雑司が谷七福神コンプリートだ。

あっさり完了したように見えるかもしれないが、道に迷ったのと必要以上に路地を散策したりと実はかなり疲れている。

しかし、僕が歩いてみた限り、新たな黒猫は見つけられなかった。

黒猫は七福神のルートを案内していなかった。

そう言わざるを得ないだろう。おや、見事に仮説が外れてしまったぞ。

ではどこにいるのだろう?

他の場所を探してみる

手がかりを失ってしまったので、もうとにかく雑司が谷をガンガン歩き回ってみたわけですよ。するとようやく何匹か見つけました。

振り返ったらバッチリいたので驚いた。

おお、電柱に黒猫が。

先ほどの電柱から少し進んだここにも。右側の電柱に注目。

左に見えるのは蓮光院というお寺。

雑司が谷はかなりの数のお寺があるのだ。

耳が大きめですね。尻尾がかわいい。

そしてこんなところにもいた。どこにいるか分かりますかね。

優雅に散歩する黒猫を発見。ちょっと壁画みたいだ。

僕が雑司が谷で見つけた黒猫は以上である。

電柱にカバーをしてるのを見ると、黒猫を隠してるんじゃないか?と疑ってしまう。

 

地元の人に話を聞いてみる

発見した数自体は少ないが、確かに街中に黒猫はいた。

果たしてこの黒猫は何なのだろうか?誰が描いたのだろうか?

真相を探るべく話を聞いてみた。

まず話を聞いたのは参道にある案内所の方。ここの方なら何か知っているだろう。

「あの〜、街中に描かれている黒い猫について教えてほしいのですが……」

「ああ〜、あれね〜。結構昔からあるけど、誰が描いたか分からんのよね〜」

てっきり「実は、雑司が谷に住んでる画家の人に頼んでね・・・」なんて答えが返ってくると思っていた。

しかし、誰が描いたのかも、何の目的かも全く分からないし、もちろん雑司が谷のオフィシャルではないらしい。非公認である!

次に話を聞いたのは法明寺の関係者らしき方。もしかしたら住職さんかもしれない。自分のお寺の参道に描かれているくらいだから何かしっているかもしれない。

しかし、この方も答えは案内所の方とほぼ同じだったのだ。

謎、全く解明しないぞ。

最後に話を聞いたのは、鬼子母神内にある駄菓子屋のおばあさん。

昔ながらの駄菓子屋さん。ここは多分有名なはず。

創業1781年。200年以上!

小さな子供達がひもクジを終えるのを待って聞いてみた。

「すいません、街中に描かれている黒猫について調べてるんですが・・・」

「黒猫?・・・ああ!あれね!いや、久しぶりに聞いたわ。黒猫のこと」

「あの黒猫は七福神巡りの道案内をしている……というわけではないのですか?」

「ああ、それは関係ないわ〜。だって七福神めぐりができたのもここ4、5年くらいだからね〜。黒猫はもっと前、7、8年くらい前だったかな?もっと前かな?それくらいからもうあったから」

どうやら七福神巡りとは全く関係がなかったらしい。先に聞いとけばこんなに歩かずにすんだんじゃ……。

「昔はね、もっとたくさん黒猫が描いてあったわよ〜。でもね、新しい家ができたり、やっぱり消されたりでだいぶ減ってるんじゃないかね〜」

そうなのか。過去にはそこら中にたくさん黒猫が描かれていたらしい。僕が探した限りではなかなか見つけられなかったが。

しかし、おばあちゃんも誰が何の目的で描いたかは、やはり知らなかった。

「でも久しぶりに黒猫のこと聞いたわ。毎日通ってるけど忘れてたわ〜。ありがとう〜笑」

「いえいえ、こちらこそです。笑」

 

話しながら、ついでに懐かしいお菓子を結構買ってしまった。

何年かぶりに食べる甘いか太郎はめちゃめちゃ美味しかった。

まとめ

今回、かなりの距離を歩いて黒猫を探した。その結果、何匹かの黒猫を発見した。

しかし、地元の人の話を聞く限り、もっと多くの黒猫がまだまだ残っているはずだ。

そして誰が何のために?という謎は変わらず謎のままだ。

想像してみる。

雑司が谷というこの街が好きで、なんとか盛り上げたいという人がいた。そうだ、ここはもともと猫の多い街だ。街中に黒猫の絵を描けば話題になってもっと多くの人が訪れてくれるのではないか……?そうして人知れずスプレーを吹きつけた……。

これは僕の想像だ。でも多分、当たっているような気がする。

なぜなら、描いてある猫も余計な文字など書かず、純粋なかわいい黒猫だけだし、一応迷惑にならないような場所を選んで描いているような気がした。

そこにただのイタズラではなく、愛のようなものを感じたからだ。

その思惑、年月が経って僕がまんまとひっかかったことになる。

でもいいのだ。黒猫、可愛かったし。

雑司が谷を訪れた際はキョロキョロしながら、黒猫を探し歩くのも楽しいだろう。

これは違うクロネコ。

主にツイッターにいます→@kenihare 無言フォロー嬉しいです。


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