紙袋の折り方についての観察

テイクアウトでコーヒーを買ったら紙袋に入れてくれる。

こんな感じで、紙袋の口は折り曲げて手渡してくれる。

あれは11月15日のことだ。

店員さんによって、上部を折り曲げたあと、さらに角を折って渡してくれる人がいることに気づいた。

角を折ってくれると、なんとなく持ちやすい。まさに角の立たない優しさを感じる。

しかし、この角を折る行為。そのお店の接客マニュアルではない気がする。

頻繁にそのお店で買っているのだが、基本的に角は折ってくれない。店員さんによって違うのだろうか。

ここでちょっと時間はさかのぼる。

 

声のかわいい店員さん

1日はコーヒーに始まりコーヒーに終わる。

半分嘘だ。寝る直前は飲まない。話は最寄駅で買うコーヒーについてだ。

僕が最寄駅で買うコーヒーは、三つの選択肢がある。

一つはコンビニコーヒー。ご存知の通り100円だ。後の二つは200円代で買えるコーヒーチェーン店。これをA店とB店とする。

一時期はコンビニのコーヒーばかり飲んでいた。しかし流石に飽きて切り替える。

さほど味にこだわりもないので、値段がほぼ同じであるA店とB店の優劣はつけがたい。

ただ、B店には声のかわいい店員さんがいる。その理由だけでB店で買うことにした。逆に言うとそれくらいしか差がないとも言える。

最初に角を折り曲げてくれたのは、その声のかわいい店員さんだった気がする。

しかしちょっと記憶が頼りない。声のかわいい店員さん以外も角を折ってくれたような気もする。

ここで仮説を立てる。

角を折り曲げてくれるのは、声のかわいい店員さんだけなのか?

これはしばらく観察せねばなるまい。

11月27日(声のかわいい店員さん)

なぜかくしゃくしゃにしてしまったのでこんなことになっている。買ってから移動する時に写真を撮ることをすっかり忘れていたのだ。

これは角が折られていた。接客してくれたのは例の声のかわいい店員さんだ。

その優しさを握りつぶして、くしゃくしゃにしたことは申し訳なく思っている。

11月28日(イケメン店員さん)

このお店には背の高いイケメン店員さんもいる。彼は丁寧に注文を聞いてくれるがどこか憂いのようなものも同時に感じていた。だからどうだって話ではないのだが。

彼は角を折ってくれなかった。僕はなぜか一抹の寂しさを感じている。

 

11月29日(ハキハキした店員さん)

折ってくれなかった。

このお店は席数が多いので朝のラッシュ時は4〜5人の店員さんがいる。レジは二つあるので誰が接客をしてくれるかは運でしかない。

11月30日(イケメン店員さん)

折ってくれなかった。三日連続で買い、三人の店員さんが接客してくれたのだが、今のところ、角を折ってくれたのは声がかわいい店員さんだけだ。

12月3日(店長みたいな店員さん)

気がつくと師走になっていた。

この日はなぜか、いつもはサンドイッチやパンを担当している少し年配の方が接客してくれた。店長なのかどうかは知らない。僕が勝手に思っているだけだ。

角は折ってくれなかった。

しかし、心なしか折り目がいつもよりピシッとしてる気がした。さすが。

 

12月12日(ハキハキした店員さん

ハキハキと接客してくれる店員さんは気持ちがいい。しかし角を折ってくれるわけではない。

しばらく期間が空いてしまったのだが、これは買ってなかったのではなく、単純に写真を撮るのを忘れていたのだ。

なお、写真はないが、12月3日からこの12日までの間、角を折ってくれたことはない。

そしてこのあたりで僕は重大な事に気づく。

声のかわいい店員さんは、辞めてしまったようだ。

12月に入ってから姿を見ていない。最初の週であれ?毎朝いたのになあ、と思っていたがそれから一切姿をみていない。

おそらく11月いっぱいまでだったのだろう。もちろん理由はわからないが、次のバイト先でもかわいい声を活かしてほしい。

もう一つ、気づいた。

イケメン店員さんも多分辞めた。

この人も12月に入ってとんとみなくなった。

おそらく11月いっぱいまでだったのだろう。もちろん理由はわからないが、次のバイト先でもイケメンを活かしてほしい。

同じ時期に二人が辞めたことに関連があるのか知る由もない。

そして、新たな店員さんが何人か入ったようだ。

12月13日(店長っぽい店員さん

角が折られる気配はない。

もうこれは結論づけてもいいだろう。

角を折るのは、声のかわいい店員さん独自のサービスだ。

正直、途中から角を折ってくれるのは、あの声のかわいい店員さんだけだろうとは思っていた。きっと彼女は優しさゆえにオリジナルで生み出した技法なのだろう。

彼女がいなくなった今、この観察も終わったなと思っていた。

しかし、である……

意外な結末

12月14日のことだ。

僕の中で観察は終わっていたが、もちろんコーヒーは買い続けていた。欠かせないからだ。

その日、接客してくれたのは新しく入ったであろう若い女の子だ。初めてだった。

紙袋を渡される時、予想外の出来事に僕は固まった。

角が反対に折られている。

上から見るとこういうことだ。

一度折った方向から、逆に角を折るというまさかの発想。

そういえば、折り紙でも逆に折るという行為はよくある気がする。もしかすると、この方が口が開きにくくなるのかもしれない。

想定外のことに興奮してしまい、この時似たような写真を30枚くらい撮ってしまった。

映画のエンドロール後に、意外などんでん返しが差し込まれた気分。

しかし、とんでもないルーキーが入ってきたものだ。もう街をあげて応援したい気持ちである。

その後もたまにコーヒー買うのだが、他の店員さんは角を折ってくれない。やはりマニュアルではないのだろう。

武道や茶道など伝統を重んじるもので「守・破・離」という言葉がある。

「守」は師や流派の教えを忠実に身につける段階。「破」は他の教えなども学び良いところは取り入れる発展の段階。「離」はそれまで習得したものを離れ、独自で新しいものを生み出す段階だ。

このルーキーはいきなり「破」の段階にあると言ってもいいだろう。これは才能だ。

今後、「離」の段階に入ると、紙袋の口をねじり倒したり、薔薇のかたちに折られたりするかもしれない。

観察は終われなくなってしまった。

 

〜追記〜

ツイッターでブログ書いたよ〜と公開したところ、読んだ方からご意見をいただいた。

・自然になんとなくいつも角を折り曲げていました。という優しき方。

・以前バイトしていた某ハンバーガー店では角を折ることがマニュアルでした。

という方が二人もいた。

この店員さんも以前、某ハンバーガーショップでバイトしていた経験があるのかもしれない。

 

主にツイッターにいます→@kenihare 無言フォロー嬉しいです。


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